古くは江戸時代の葛飾北斎などの浮世絵や、近代になってからの日本画や油彩画などが展示されていました。多彩な「妖怪」たちを描いた作品群で、それぞれ興味深く拝見しました。
それら展示品の中には、「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげる氏のキャラクターたちの絵も展示されていました。娘たちも結構楽しんでいるようでした。
殊に墨絵で描かれた女の幽霊の掛け軸や、おどろおどろしい不気味な人形たちなども展示してあり、暑い夏のさなか、わずかながらでも「涼」を感じることができました。
古来からの「妖怪」たちを見ていると、近年、アメリカなどで人気が出ている日本のホラー映画に通じるものがあるようにおもいました。
古代から日本人の心にある怨霊に対する畏れや迷信、また、密かに語り伝えられた村々の伝承などによって、当時の庶民の豊かな想像力で生み出された「妖怪たち」は、あきらかに日本の文化のひとつです。そう考えると、かれら「妖怪」たちがなんとも可愛らしく、いとおしく感じられるのが不思議です。
この展覧会でもっとも印象に残ったのは、異様に目玉が大きく飛び出した異形の白い人形たちです。説明書きによると、製作者は女性のようです。創作現場でひとり黙々と一体一体を作っている姿を想像すると、展示された作品とはまた別に、ゾッとするものがありました。
展覧会を見に行った日から、小学生の娘は2階の寝室にひとり上がって眠れなくなりました(笑)。今回の美術鑑賞で、彼女の想像力も豊かになったことでしょう。