本郷教授は、現在放映中のNHK大河ドラマ『平清盛』の時代考証を担当されている方です。つまり日本の中世史に関しての専門家(エキスパート)といえます。まさに新進気鋭の歴史学者です。
お話によると、史料編纂所での仕事というのは、東大の学生たちに歴史の授業をすることではないそうです。実際の仕事は、平安時代末期に起こった様々な事件や事実を古文書などの史料にあたって、『大日本史料』という壮大な記録書の編纂だそうで、その中の第5編の担当だとのことです。
1年単位ごとに日本の歴史を克明に記録されているそうですが、平安時代末期その当時の1年間で起きたあらゆる事件等を約10年ほどかけて研究し編纂するそうです。まさに気の遠くなるような地道な仕事です。
仕事柄、非常に地味で生真面目な方かと想像していましたが、とても話が面白く、ついつい聞き入ってしまいました。特に『平清盛』の制作秘話などは興味深く拝聴しました。
残念ながら現在のところ視聴率は低迷していますが、今回の大河ドラマはリアリティを重視しているようです。ドラマが始まった当初、兵庫県知事から「映像が汚い」というクレームがありました。しかし、本郷教授によると、平安時代の京都でも死人があちこちにゴロゴロしていたり、神聖な寺社の中にまで野良犬が死人のちぎれた腕を咥えてウロウロしていたそうです。
最も面白かったのは、当初、NHKの制作側が気合が入っていたのか、セットに大きな海賊船を造り、その他7隻も造ったものだから、制作費が底をつき、それ以来、視聴率が低下し、予算の追加が認められなかったそうです。平治の乱によって敗れた源義朝軍勢が東へ逃げ延びるシーンを馬を調達して撮りたかったようですが、予算がなく諦めてしまったそうです。
それから、『平清盛』という主人公をどう描くかということで喧々諤々(ケンケンガクガク)の議論となったそうです。やはり大河ドラマの主人公は、時代のヒーローとして描くべきだとか、否、清盛はあくまで権力に固執した稀代の悪人として描くのが相応しいとか、ずいぶん揉めたそうです。
さて、今後どのような展開になるのか楽しみです。
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