2015年11月1日日曜日

「20歳(ハタチ)のころ(25)」

マドリッドでは、そのほかに荘厳な王宮やプラド美術館を訪ねました。とくにプラド美術館は素晴らしかった。スペインを代表する画家、アル・グレコやセルバンテスなどの絵画が展示されてあり、その独特な色合いと構成は美術鑑賞素人(しろうと)の自分でも感動しました。それぞれの絵に表現されている宗教的背景や歴史を理解できていれば、作品の魅力も増すのではないかと思いました。パリのルーブル美術館も感動しましたが、プラド美術館も引けをとらない芸術の宝庫でした。この貴重な体験以来、絵画芸術の魅力に惹かれ、帰国後も美術館へ足を運ぶようになりました。

マドリッドを後にし、南へ少し下ったトレド(Toledo)という街へ向かいました。おそらく赤居さんがスペインでどうしても訪ねてみたい場所だったようです。トレドはアル・グレコを輩出した街です。城壁に囲まれた中世の街並みは、一見の価値があります。まるで何百年も時間が止まったような雰囲気でした。ゆっくりと古い石畳を歩いていると、タイムスリップしたような感覚におそわれました。街の南側には旧市街を取り巻くようにテージョ川が緩やかに流れています。

トレドの街を散策したあと、進路を東に変え、バレンシア(Valencia)へと向かいました。世界遺産のアルハンブラ宮殿で有名なスペイン南部のグラナダ(Granada)やセビーリャ(Sevilla)へも足を延ばしたかったのですが、やはり時間的・金銭的制約によって泣く泣く諦めました。広大なアフリカ大陸を目の前に、是非ともジブラルタル海峡を見たかった。残念です。したがって、ポルトガルも訪ねることができませんでした。

バレンシアはオレンジなどの果実が豊富で有名です。街の市場に行くと、色とりどりのフルーツを売っていました。あたり一面に甘い香りが溢れていました。ひとつオレンジを買ってナイフを入れると、誤って指を切ったかと思うほど真っ赤な汁が滴り出ました。ひと切れ食べてみると、甘酸っぱい果汁が口の中に広がりました。

バレンシアでは、ビーチへ行きました。真っ白な砂浜と真っ青な空、それに群青色の地中海が目の前に広がっていました。まず一番に眼を引いたのが、スパニッシュ女性の美しさでした。とび色の瞳に小麦色の肌が印象的でした。世界にはこんなに美しい女性たちがいるのかと、唖然としました。赤居さんとしばらく口をアングリと半開きにして、セクシーなビキニ姿のそんな彼女たちを眺めていました。まさに至福の時でしたね(笑)。

(つづく)

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