2015年4月19日日曜日

「20歳(ハタチ)のころ(15)」

ロンドンへは何度も足を運びました。とても魅力的な都市です。大きなテムズ川が市の中央を流れていて、歴史的建造物が所狭しと並んでいます。広大なハイド・パーク(Hyde Park)やバッキンガム宮殿につながるセント・ジェイムズ・パーク(St. James’s Park)など、緑が豊かで美しく、散策や憩いの場所として大好きでした。

歴代のイギリス王が埋葬されてあるウエストミンスター寺院、テムズ川沿いの国会議事堂のビッグベンや血塗られた歴史のロンドン塔など、歴史好きにはたまらない場所が数多くあります。また大英博物館は何度行っても飽きることはありませんでした。バッキンガム宮殿へと真っ直ぐ伸びるザ・モール(The Mall)を壮麗に行進する衛兵交代式も一見の価値があります。

イギリスには通常のホテルとは別に、B&Bといってベッド・アンド・ブレックファースト(Bed & Breakfast) と呼ばれている簡易ホテルが各地にあります。一度、赤居さんやスイス人留学生の女性二人とロンドンへ小旅行へ行ったことがありました。宿泊の予約もせず行き当たりばったりの旅行だったので、どこもホテルは予約でいっぱいでした。

B&Bをやっと一軒探し出し、宿泊をお願いすると、4人部屋の一つしか空いていないということでした。仕方ないので(?)、そこへ泊まることになりました。しかし、すぐ隣のベッドで金髪の若い女性が二人寝ていると想像しただけで、その夜は何度も寝がえりをうって、なかなか寝つけませんでした。赤居さんも同じ心境だっただろうと思います。若い頃、特に、男の妄想(もうそう)というものは、制御不能になると、果てしなく限りがありません。

手元には、タワー・ブリッジ(Tower Bridge)を背景に、テムズ川沿いで撮った古い写真があります。雨の多いロンドンのことですから、手には傘を持って写っています。女性ふたりと並んで撮ったので、赤居さん同様、妙にニヤけて写っています。明治の文豪、夏目漱石はロンドンでの留学中、神経衰弱になってしまったそうですが、私にとって、当初のホームシックを克服した後は、まさに充分に英国での生活を満喫していました。

(つづく)

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