橋下氏の果断な実行力と強力なリーダーシップによって、明治政府より長年営々と受けつがれている中央集権体制を突き崩す動きを始めています。現在のように国がそのほとんどすべての財源を確保し、地方交付税という形で分配し国の意向に沿わせるという統治管理システムは、もはや制度疲労をひき起こしているといえます。いままさに国のありかたを変える時期に来ているようです。
『大阪維新の会』の掲げる大阪都構想は、その大胆な改革を推し進める第1歩となるでしょう。地方分権という「地方でできることは地方で」をその行動の軸とし、地域に密着した施政を可能にする動きです。これによって国と地方による無駄なダブル行政をなくし、その地域に特質した住民サービスを提供できるようになります。教育、医療、福祉、交通、環境など、その地域に住む人たちの要望や承認によって、より良い公共サービスの提供が可能になります。
国はそのぶん外交や国防といった国家全体にかかわる政策に集中できます。120年ほど前に明治政府によって行われた廃藩置県によって区分けされた現在の都道府県は、交通や通信の発達によって意味のないものとなっています。その観点から、まさに道州制というのは、「行政権」、「税源」、および「立法権」までをも広域行政へ委譲するという、いま私たちが生きる現代に相応しい国家設計であるといえます。
橋下氏の自己の信念に対する揺るぎない自身と、改革に向けて突き進む突破力は、稀代の戦国武将、織田信長に通ずるものがあるように思います。信長は、その強烈なリーダーシップをもとに既得権益を打破し、楽市楽座や兵農分離などの大胆な政策で、よどんだ中世社会から近世の扉を押し開きました。民族的特質として独裁者を毛嫌いする日本人にとって橋下氏の行動や提案は奇異に映りますが、いまの停頓する政治に活を入れるものとして必要であると思います。橋下氏の行動力とそのスピードには期待しています。
しかしひとつ気になるのは、時代の革新者、織田信長がどういった最後を遂げたか。周知のとおり、保守的で旧体制信奉者ともいうべき明智光秀の謀反によって暗殺されました。つまり、改革に対する抵抗勢力ともいえる既得権益者にとって、橋下氏は消し去りたい人物だといえます。彼の今後の活躍を願うものとして、くれぐれも身辺には用心されることを願います。
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