2008年11月9日日曜日

菜の花の沖


朝日新聞出版の週刊司馬遼太郎Ⅳを読んだ。「街道をゆく」全43巻を始め、司馬遼太郎の短・長編はすべて読んでいるので、このシリーズは小説ゆかりの舞台の写真や作品の裏話も載っていて興味が尽きない。

今回の内容で面白い記載があった。司馬遼太郎の編集者だった方の回想で、高田屋嘉兵衛を主人公とした「菜の花の沖」にまつわる話だ。

その編集者は嘉兵衛の子孫の方から、「どなたか嘉兵衛のことを書いてくれる作家はいないでしょうか、資料はたくさんあるのですが」、との相談を受けていたらしい。その話を作家の吉村昭に話したところ、「ちょうど嘉兵衛について書いてみたいと思っていたところだ」との返答だった。

しかし、そんなある日、司馬遼太郎から、突然、「今度、高田屋嘉兵衛について書こうと思う」と話があった。そのことを吉村昭に伝えると、「それじゃ書かないことにします」と断念したとのこと。

やはり時代小説を書いていると、そのように同じ主人公やテーマがたまたまダブルことがあるだろうなあ。しかし、吉村昭の書いた高田屋嘉兵衛も読んでみたかった。

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