2008年11月12日水曜日

いま凝っている作家


いま吉村昭の歴史小説に凝っている。かれの作品を初めて読んだのが、今年の初め頃だったと思う。オランダの解剖書「ターヘル・アナトミア」を「解体新書」として苦労の末に翻訳した杉田玄白の話で、「冬の鷹」という小説だった。

杉田玄白と解体新書は、教科書にも載っていることだが、実は前野良沢という中津藩医がそのほとんどの翻訳をしている。小説は、なぜ彼の名が訳者として記されなかったのか、名声をほしいままにした杉田玄白とは対照的に、晩年を孤高に生きたかれを主人公にしている。

この小説を読んだあと、シーボルトの娘として、女性が医者になるのは夢のまた夢といわれた幕末に、産婦人科医として生きた、お稲さんこと、楠本イネを主人公にした「ふぉん・しいほるとの娘」を読んだ。吉村昭の膨大な史料と地道な実地調査を踏まえて描く歴史小説に圧倒された。

それ以来、吉村昭の作品を読み続けている。司馬遼太郎、松本清張、浅田次郎に嵌ったあと、新たな作家を見つけたようだ。浅田次郎以外はもう亡くなっているけど・・・。

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