2011年8月21日日曜日

川の流れのように

いまからちょうど800年ほど前に、鴨 長明(かも の ちょうめい)という歌人・随筆家がいました。時代は平安時代から鎌倉時代です。彼の随筆に「方丈記」があります。約100年後に執筆された 吉田兼好の『徒然草』、清少納言の『枕草子』とあわせて日本三大随筆と呼ばれるそうです。その有名な書き出しは、

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」

いま目の前を流れている川は絶えず川として見えるけれど、実際はもとの水ではない。では一体それは何だろうか。それは一種の陽炎のように儚いものではないのか。時は流れ、様々な喜びや悲しみが過ぎてゆくけれども、すべては河の流れのようだと言っているように思います。この世の無常観が表れています。震災のあと、この言葉が胸に響きます。

「川の流れのように」 美空ひばり

知らず知らず 歩いてきた
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く
故郷(ふるさと)が見える
でこぼこ道や 曲がりくねった道
地図さえない それもまた人生
ああ 川の流れのように ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように とめどなく
空が黄昏(たそがれ)に 染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢 探しながら
雨に降られて ぬかるんだ道でも
いつかは また 晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように 移り行く
季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら

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