菅首相の退陣も、とうとう月末となりました。3月11日に発生した東日本大震災と原発事故に対するリーダーシップ欠如が原因で、辞任要求が吹き荒れ、退陣3条件の(1)今年度第2次補正予算(2)赤字国債を発行するための特例公債法案(3)再生可能エネルギー特別措置法案の成立が満たされるからです。民主党による政権交代後、はや3人目の総理大臣が近く指名されます。
井沢元彦氏の著書を読んでいたら、河合隼雄氏の『中空構造日本の深層』という本に、権力者(リーダー)について次のような文章があると書いてありました。
― 日本の場合の長は、リーダーと言うよりはむしろ世話役と言うべきであり、自らの力に頼るのではなく、全体のバランスをはかることが大切であり、必ずしも力や権威をもつ必要がないのである。日本にも時にリーダー型の長が現われるときがあるが、多くの場合、それは長続きせず、失脚することになる。日本においては、長はたとい力や能力を有するにしても、それに頼らずに無為であることが理想とされるのである。
(中略)
最も近代的な組織の運営において、欧米諸国から見ればまったく不可解としか思えないような、統合性のない、誰が中心において責任を有しているのかが不明確な体制がとられていたのである。このような無責任体制も、それが事なくはたらいている時は、案外スムーズに動いているものであるが、有事の際にはその無能ぶりが一挙に露呈されるのである。(中略)日本の近代組織は、時に驚くべき無責任体制であることを示す事実は、枚挙にいとまがないであろう。―
河合氏は、臨床心理学者で『古事記』の分析によって、日本の権力(意思決定)システムを「中空構造」と定義したそうです。この言葉を読むと、まるでこの度の震災や原発事故に対する政府や東電の稚拙な対応ぶりをそのまま指摘したようです。
今度新しく選ばれる総理大臣には、強いリーダーシップを発揮してほしいものです。
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