これまで司馬遼太郎、吉村昭、松本清張、浅田次郎作品などを愛読してきましたが、近頃読み始めたのが藤沢周平です。藤沢の小説には、必ずと言ってよいほど懐かしい美しい日本の原風景が描かれています。そしてそれらの小説に登場するのが架空の藩である「海坂(うなさか)藩」です。
先日、ベッドに横になって彼のエッセーを読んでいたら、以下のような文章がありました。
「海辺に立って一望の海を眺めると、水平線はゆるやかな弧を描く。そのあるかなきかのゆるやかな傾斜弧を海坂(うなさか)と呼ぶと聞いた記憶がある。うつくしい言葉である。」
まさにこの一文を読んで、藤沢周平の小説の舞台がさらに澄み切ったように感じました。じんわりと心に響きました。なんと日本語というのは美しい言葉を持っているのでしょうか。
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