2011年7月15日金曜日

小さいことは良いことだ?

清少納言は『枕草子』で、「ちいさきものはみなうつくし」と書いています。これはある本によると、日本人のモノに対する文化的特徴をよく表しているそうです。つまり日本人は、何でも小さく、軽く、薄くすることに美を感じるようです。

たとえば薄型テレビ。以前のように分厚いブラウン管のテレビではなく、液晶ディスプレイなど極限まで薄くすることにその技術を結集していますし、ケータイやパソコン、またはデジタルカメラなども全て小さく、軽く、薄くなってきています。折り畳み傘や、扇や団扇(うちわ)などをコンパクトに畳めるようにした扇子(せんす)なども、日本人の発明です。

それに比べてアメリカ人は、対照的に何でも大きくすることに喜びを感じる国民性のようです。アメリカに行くたびに、見るもの全てそのスケールの大きさに驚いてしまいます。日本とアメリカとの国土の広さの違いも、それぞれの国民性に影響を及ぼしているのかもしれません。

この日本人の特徴的な意識が明瞭に表れているとして有名なのが、石川啄木の次の歌です。

「東海の 小島の磯の 白砂に われ泣きぬれて 蟹(かに)とたわむる」

広大な海から小島、磯、砂浜へとアングルは次第に小さくなってゆき、最後は一匹の蟹と一滴の涙へと凝縮されていきます。まさしくこれは、日本人が無意識に感じている心の動きではないでしょうか。この国民性は、同じアジア人でも中国人や韓国人にもない日本人だけがもつ特徴のようです。不思議です。

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