2011年7月22日金曜日

脳の不思議

脳の中にある神経伝達物質のひとつにアセチルコリンがあります。脳というのは一種のケミカルマシーンです。およそ1千億もある神経細胞(ニューロン)の一つ一つは、また約1万もの他の神経細胞とつながっているそうです。まさにそのネットワークは無限といえます。

そのひとつのニューロンと別のニューロンとの継ぎ目がシナプスと呼ばれ、その間を神経伝達物質が絶えず流れています。アセチルコリンも、その無数の神経細胞の網の目をジワ~っと拡がっています。

近年問題になっているアルツハイマー病は、このアセチルコリンの不足によって引き起こされる病気だそうです。いわゆるボケといわれるものには、脳梗塞や脳出血で起こる認知症とこのアルツハイマー病があります。100年ほど前にドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーが発見したそうです。

つまりアルツハイマー病を治すには、この神経伝達物質のアセチルコリンの働きを活発にすれば良いわけです。そして非常に興味深いのが、アセチルコリンの増強薬としてもっとも有名なのが「サリン」だそうです。そうです、あのオウム真理教によって引き起こされた地下鉄サリン事件に使われた「サリン」です。

不思議ですね。サリンはその他に、すっかり忘れていた過去のさまざまな記憶も鮮明によみがえらせるそうです。地下鉄サリン事件の被害者たちも、思い出そうとしなくても次から次に昔のことが溢れるように思い出され苦しんだそうです。そう考えると、人間にとって、「忘れる」ということは必要なことのようです。

また私たちが毎晩みる夢も、このアセチルコリンによって作られているそうです。脳というのは、広げると新聞紙1枚ほどの大きさだそうですが、その働きは何とも不思議で未知の領域です。

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