2011年7月30日土曜日

書評 ― 堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』


『ルポ 貧困大国アメリカ』を読みました。堤未果という新進気鋭のジャーナリストによって書かれた生のアメリカの実情です。

自由で豊かなアメリカのイメージが崩れ去るような内容です。ブッシュ大統領時代に、「競争」という美名のもとに推し進められた民営化によって、貧富の差が広がり、格差社会が生まれ、医療、教育などに様々な歪(ひずみ)が生まれたようです。

はたまたイラクやアフガニスタンでの戦争でも民営化が進み、チェイニー前副大統領が以前会長をつとめていた「ハリバートン社」の下請けが、紛争地域での輸送業務や戦争屋ともいうべき傭兵を送り込んでいるという実態が描かれています。おもに貧困で喘いでいる移民や低所得者をターゲットにして雇い入れている事実が明らかにされています。

人権問題など他国に対しては手厳しいアメリカにおいて、このような人権を無視した行為が行われていることに驚きました。アメリカ社会の影の部分を鋭くえぐり出した秀作です。
  

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