2011年6月5日日曜日

書評 ー 柳澤桂子「意識の進化とDNA」


ウ~ン、なかなか難解だった。一般読者にもなんとか分かりやすいように、小説のかたちをとってカップルを登場させ、二人の会話を通じて人類の起源、自我意識の誕生、脳の進化、記憶のメカニズム、はたまた芸術・科学や神・愛について、科学的または哲学的見地から説明をしている。言いたいことは何となく分かるような気がしたが、240ページの文庫本のボリュームでは無理があるように思う。巻末にのせられている参考文献を読めばそれぞれの分野の理解度も深まるのだろうが、心して掛からないと生命科学の密林へ迷いこんでしまいそうだ。

以前から脳に関しては興味があって、いままで以下のような本を読んでいる。

脳を究める 脳研究最前線 ー 立花隆(朝日新聞社)
脳と心の地形図 ー リタ・カーター(原書房)
生存する脳 ー アントニオ・R・ダマシオ(講談社)
人間がサルやコンピューターと違うホントの理由 ー ジェームス・トレフィル(日本経済新聞社)
心や意識は脳のどこにあるのか ー ニコラス・ウェイド(翔泳社)
脳のなかの幽霊 ー V.S.ラマチャンドラン サンドラ・ブレイクスリー(角川書店)

しかし脳科学というのは、脳が脳について、つまり、自分の脳でその脳のどの部分が今どういう働きをし、どういうメカニズムで活動しているのかを調べるというのは、なんとも不思議である。まさに生命は神秘であり、奇跡の産物である。

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